2018/02/22
先日、娘が通うピアノ教室の発表会がありました。
僕は子供らの演奏に耳を傾けながら、ぼんやりと遠い昔の事を思い出していました。
そう、あれは小学校の音楽会。
今でも鮮明におぼえています。
僕のクラスは『音のシンフォニー』という曲を合唱しました。
知ってる人は少ないと思いますが、この『音のシンフォニー』は、ただの合唱曲ではありません。
生徒ひとりひとりに見せ場(ソロパート)がある、子供にとってはプレッシャーがハンパねぇ、略してプレパネェソングだったのです。
ラララララララララ♪
ララララララララ♪
ラララララララララ♪
ララララララララララララ♪
大工さんのトンカチは
生徒A「トントントン」
豆腐やのラッパなら
生徒B「トープー」
交差点のお巡りさん
生徒C「ビリビリ」
生徒D「ドレミレドドレミレドレ」
刻一刻と近付く僕の出番。高鳴る胸の鼓動。
バスの車掌さんは
生徒E「発車オーライ」
体操の選手は
生徒F「きをつけ」
あああ、次はついに僕の出番だ…でも一瞬だ!一瞬で終わるから!がんばれ!お前ならできる!!
魚屋のおじさんは
僕「まいどあり」
チーン。終了。
もうね、死ぬほど恥ずかしかったワケですよ。わかりますか?感受性が強く傷つきやすい年頃の少年がですよ?声が響きわたる講堂で全校生徒を前にして「まいどあり」って大声で叫んだんです!いや、正確には叫ばされたんです!叫ばざるを得なかったんです!!
そもそもどうして僕が魚屋のおじさんなんですか?僕、魚屋の息子じゃないですよね?将来の夢は魚屋さんです!とか言いました?僕、そんなこと一言も言ってないですよね?
でもね、まあそれはいいんです。時間にすればわずか2秒程度の恥さらしですから。みんなすぐに忘れますから。
それなのに…
どうして流したんですか?
どうしてカセットテープに録音したのを後日、全校放送で流したんですか?
カセットテープに自分の声を録音したことありますよね?録音した自分の声ってすごくイヤじゃないですか?全校生徒の前で「まいどあり」って叫んだんだからもうそれで充分じゃないですか!なぜ、あえて自分で自分の「まいどあり」聞かなきゃならんのですか!あんまりだよ!あまりにもあんまりだよ!
しかもね
なにも給食の時間にそんなの流すことないでしょう!
そんなの給食の時間に流されたら、いくら育ち盛りの子供でもね
さすがに
メシも喉を通らないですよ!!
そんな出来事から数十年。
あの日のあの子供、今じゃアマチュアロックバンドのボーカルとして人前で目ん玉ひんむいて叫んでるっていうんだからさ。人生なんてわからないもんだよねぇ~