夏の思い出(19歳) 青春日記より2004/01
夏の思い出(19歳)
僕は19歳の夏休みに自動車の免許を取得した。
かれこれ12年も前の事である。
運転免許取得までには、まず第1段階から第4段階まであって、そのあと修了検定、最後に卒業検定という流れだったと思う。たいていの人は修了検定で落ちたり、卒業検定で落ちたりとストレートで最後までいける人の方が少ない。
だがしかし天才である僕は修了検定も卒業検定も一発合格であった。
要するに僕は運転免許をほぼストレートに取得したのである。
・・・・ほぼストレートとはどういうことか?つまりはストレートではないということである。
たったひとつの汚点・・・・それは、どんなアホでも問題なく進む第1段階で、僕はオーバーしてしまったのである。(オーバーとは運転ミスをして教官にサインをもらえないこと。サインをもらえないと、その時間は無駄になり、やりなおしとなる)
第1段階。その日の教官は、とても人の良さそうな教官だった。しかも説明もわかりやすく親切だった。
教官「ギアの説明をします。1速はパワーはあるがスピードがない。例えるなら、お相撲さんの小錦(コニシキ)です。2速はというと・・・・オグチくん、お父さんは健在ですか?」
僕「はい」
教官「そうですか。それは良かった。2速はパワーもスピードもそこそこ。例えるなら、お父さんです。」
・・・僕のお父さんを見た事があるのだろうか?・・・
教官「そして3速。スピードはあるがパワーがない。例えるならカール・ルイスです。4速、5速は教習所のコースでは狭いので使いません。」
とてもわかりやすい説明である。いい教官に当たったなと僕は思った。
そして第一段階の実技(運転)がスタートした。
教官「ハイ、まずウインカーを出して、前後左右を確認!ギアを小錦に入れて!ハイ発進!アクセルをグーンと踏んでぇ~お父さん!!アクセル踏んでぇーカール・ルイス!!左のサイドミラー確認!左にウインカー出してアクセルはなしてぇ~ハイお父さん!!ハイ小錦!!ハンドル切って曲がりながらアクセル!お父さん!グーンといってカール・ルイス!!ブレーキ!お父さん小錦!お父さんカール・ルイスお父さ~ん!」
・・・・軽いパニック状態に陥った僕は思いっきり逆走してしまった・・・・・
運転終了後、教官は僕に言った「う~ん・・・逆走しちゃったからなぁ・・・サインはあげられないなぁ・・・」
悪いのは僕だったのだろうか?